医療法人社団 健整会 米倉脊椎・関節病院

腕神経叢損傷

腕神経叢損傷

症状

腕神経叢損傷とは
バイクでの転倒やハイスピードなスポーツでのアクシデントなど、強い衝撃が加わった後に、腕のしびれや肩を上げたり肘を曲げたりすることができなくなる。時には指先まで全く動かせなくなってしまうことがあります。
またお産の際に骨盤位や肩難産で生まれた赤ちゃんが、腕をうまく動かせないことに気づくご家族もいらっしゃいます。
これらは、「腕神経叢(わんしんけいそう)損傷」と呼ばれる状態かもしれません。首から腕にかけて伸びる大切な神経の束が、何らかの原因で傷ついてしまったために起こる症状です。どの部分が、どの程度損傷したかによって、現れる症状は様々です。肩を上げるのが難しい、肘が曲がらないといった特定の動きができない場合もあれば、肩から腕全体が全く動かせなくなってしまうこともあります。外傷後、徐々に回復していくケースもあれば、残念ながら完全に回復しない場合もあります。

病態

腕の動きを司る神経ネットワーク:腕神経叢
私たちの腕や手の動きと感覚は首の骨(頚椎)から伸びる5本の神経(第5頚神経~第8頚神経、そして第1胸神経)が集まってできた「腕神経叢」という神経の束によってコントロールされています。
これらの神経の根っこは、背骨の中の脊髄から出て、鎖骨と一番上の肋骨の間を通り、脇の下へと続いていきます。その過程で、神経線維は複雑に枝分かれしたり、合流したりしながら、最終的に腕のさまざまな筋肉や皮膚へと繋がる、正中神経、尺骨神経、橈骨神経、筋皮神経といった主要な神経へと姿を変えるのです。

原因

何が神経を傷つけるのか?
バイクやウインタースポーツなどの事故で、肩と頭の側面を強く打ち付けた際や機械に腕が巻き込まれて無理に引き抜かれるような力が加わった時、腕神経叢は強く引き伸ばされて損傷を受けることがあります。
その他にも、鎖骨の上の部分の刺し傷や切り傷、鎖骨骨折の際に骨の破片が神経を突き刺す、肩関節が脱臼するといった状況でも、腕神経叢が損傷することがあります。
また、出産時、赤ちゃんが骨盤位や肩難産で、頭や肩が産道に引っかかった状態で、無理に引っ張る力が加わると、赤ちゃんの腕神経叢が引き伸ばされて損傷することがあります。これは「分娩麻痺」と呼ばれています。
腕神経叢の損傷の程度は様々で、神経の根っこが脊髄から引き抜かれてしまう「引き抜き損傷」、神経の束の中で神経線維が繋がったまま引き伸ばされる「有連続性損傷」、そして神経が完全に切れてしまう「断裂」などがあります。一般的に、症状が重い「全型」と呼ばれる損傷では引き抜き損傷が多く、肩を上げるのが難しいといった「上位型」の損傷では、神経の束の中での損傷が多い傾向があります。

診断

診断の手がかり:症状とていねいな診察
首の付け根から鎖骨の上あたりにかけて腫れや痛みがあり、腕の力が入りにくい、感覚が鈍いといった症状が見られる場合は腕神経叢損傷の可能性があります。専門医による詳しい神経学的診察や検査によって腕神経叢のどの部分が、どの程度損傷しているのかを慎重に判断していきます。
損傷の部位と範囲によって「上位型」「下位型」「全型」といった分類がされます。成人の腕神経叢損傷では、全体におよぶ「全型」が最も多く、次いで肩を上げる動きなどに影響が出やすい「上位型」が多く、手や指の動きに影響が出やすい「下位型」は比較的少ないとされています。一方、分娩麻痺の場合は、「上位型」が約8割を占め、「全型」は少ない傾向があります。
もし、思い当たるような状況で腕の動きや感覚に異常を感じたら、自己判断せずに、できるだけ早く専門医を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

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