大腿骨頚部骨折/大腿骨転子部骨折
大腿骨頚部骨折 / 大腿骨転子部骨折
症状
主な症状は股関節(脚のつけ根)に痛みがあり、ほとんどの場合、立つことや歩くことができなくなります。
病態・原因
大腿骨は股関節からすぐのところ(大腿骨頚部)で曲がっています。人間はその曲がった大腿骨で体を支えていますが、曲がったところは転倒や転落の時に外力が集中し骨折しやすくなります。この骨折は骨粗しょう症で骨がもろくなった高齢者に多発します。
病態が大きく異なりますので、関節の中で折れる場合(大腿骨頚部骨折)とそれよりもう少し膝側の関節外で折れる場合(大腿骨転子部骨折)の二つに分けて考えます。
大腿骨頚部骨折は骨粗しょう症がある場合、ちょっと脚をひねったぐらいでも発症します。高齢者が何日か前から脚のつけ根を痛がっていたが、ある時急に立つことがあります。これは立てなくなった時に骨折部でずれが生じたたと考えられます。
また大腿骨頚部骨折では骨頭壊死といって、後日、血流障害により骨がつぶれてしまう合併症にも注意が必要です。
一方大腿骨転子部骨折は明らかな転倒・転落で発生します。
大腿骨頚部骨折は血液循環が悪いため骨癒合が得られにくく、一方大腿骨転子部骨折は骨癒合が比較的得やすいので、手術方法が異なります。
診断
認知症などのためはっきりわからないこともありますが、もし高齢者が転んだりした後、立てなくなったら第一にこの骨折を考えて痛む場所を確認しエックス線(レントゲン)診断を行います。
亀裂骨折(ひび)などエックス線でわかりにくい場合はMRIで診断可能です。時々この骨折がなくても骨盤の亀裂骨折を起こしていることがあります。骨盤の亀裂骨折では多くの場合、歩行はなんとか可能です。
治療
安静期間中に認知症や動けないうちに運動機能が落ちて寝たきりになってしまうこと(廃用性筋萎縮)があるので、何らかの手術療法を行うことがほとんどです。
大腿骨頚部骨折に対しては主に人工骨頭置換術、スクリューやピンによる固定を行います。
大腿骨転子部骨折には主に大腿骨に太いくぎを挿入し固定することがほとんどです。